塩について その2

自然医学, 食品

<塩の摂取量>

いまから35年ほど前に目にした、生理学か生物学かの文献で「植物食をさせると体質改善ができる」という報告を読んだことがあります。

そして、植物性食品だけを食べさせる実験を行ったところ、「彼らは一様に、海藻類をむさぼるように食べた」と述べ、その理由として「恐らく、植物食で不足する塩分を体が欲したのだろう」と結論付けていました。

前回の項でご紹介したように、塩は生命の源であり、生命維持に不可欠なものです。

ガンや糖尿病など慢性疾患のほとんどがミネラル不足に陥っており、それを食養生の世界では「塩抜け」と呼んでいます。

では、塩はどのくらい摂取すれば良いのでしょうか。

それは、食品のどれもがそうであるように、生活環境や食習慣によって必要とする量は異なります。
不足すると生命力を損なう自然塩であっても、必要以上に摂り過ぎれば害になります。

塩には血液循環を促し、冷えを防ぐ働きがありますので、一般に寒い地方で穀類を多食する習慣のあるところでは、塩を多めに欲するようです。

冒頭で述べたように、植物食ではそれらが含有するカリウムとのバランス上、塩をしっかりと摂る必要があります。
「食事を玄米菜食に切り替えたにも拘らず、体調が良くない」と言う人は、ほとんどが塩分不足に陥っていると考えられます。

逆に肉を多食する民族は、肉自体が含有するミネラル分によって、塩をあまり必要といたしません。

例えば、グリーンランドのイヌイットの伝統的な食事は、極端に塩が少ないことで有名です。

それは、主食とするトナカイやアザラシなどを血液や内臓ごと摂ることで、ナトリウムほかのミネラルやビタミンを補給できているためだといわれています。
しかしながら、非常に短命であることでも有名で、その理由はこの食文化に根差していると考えられます。

食文化というのは、その土地の気候風土に影響され、ヨーロッパでは4,000年以上前から肉食が続いていますが、日本人は古くから穀物や野菜中心の食生活を続けてきました。

戦国時代の武士たちは穀類中心の食事で、5穀類(米・麦・粟・豆・稗または黍)を1日に1人6合も食し、あとは塩18g、味噌36g、梅干し、たくあん程度で、常備食として炒り玄米を携え、鎧兜のいでたちで大太刀や槍を振るう体力を有していました。

玄米や粟・稗などを食べていた頃は一汁一菜で不足感は無かったようですが、江戸時代の元禄・享保以降、白米を食べるようになって、栄養学的にみても不足が生ずるようになりました。

多彩な副食で不足分を補おうとしても、従来のバランスを得ることが難しいために以前のような満足感が得られず、それが日本人が過食に走りやすい原因だと、日本綜合医学会の創設者の一人である故・沼田勇博士は述べておられます。

 

※参考文献:自然医学誌「生命と塩」

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