今回のコロナ禍に限らず、自然治癒力を高めることが、第二、第三の未知の感染症が起こったときも、自然淘汰に身を任せる心の余裕をもてるのではないでしょうか。
自然治癒力向上について、食事、環境、心のあり方など「各論」での基本と、それらを補完できる直接的な器具を紹介いたしましたが、総てを実行するのは困難ですし、その必要もないと思います。
ご紹介した基本の中で、最も生活に採り入れやすいものを組み合わせ、ご自分なりの健康法を確立されるのが良いと思います。
続けていけば、体は必ず応えてくれるもので、だんだんと体力や抵抗力が高まるのを自覚できるものです。
誰が何と言おうと「結果が総て」ですから、心身の不調が無く快適な毎日を過ごせるのなら、その人の生き方は正しいのだと思います。
ただ、どのようなやり方をしたとしても、共通するポイントは、「続けること」と「心のあり方」でしょうか。
一例として、私の場合は、電子治療器やビワキューは治療のために使うことはあっても、健康維持で毎日30分~1時間を費やすことができません。
食事なら最低限の日常ですし、環境や皮膚から入る物を厳選して使うのも日常生活の一環ですから、それらを整えるほうが時間的に合理的で自分に合っています。
よく、「○○が△△に良い」などといわれますが、私はあまり意識しておりません。
自然療法の薬代わりとして何かを作ることはあっても、予防として自然治癒力を高める生活には、もっと大切なことがあると思うからです。
私は子供のころ病弱で、毎日のように鰻を、月に1度は鯉料理を食べさせられ、ドクダミ茶を飲まされたり、ニンニクの醤油漬けを食べさせられたりしましたが、薬漬けの身体が丈夫になることはありませんでした。
ですから、なによりも大切なのは「生理活動を乱すものを体に入れない」ことだと実感しています。
現代は分析技術の発達により、成分で思考する傾向がありますが、自然医学ではもっと大枠で考えます。
自然療法の権威である東城百合子先生の書物によると、アメリカで枇杷の有効成分のビタミンB17(アミグダリン)が癌に特効があるということで、これを抽出して癌患者に注射した時期があるそうですが、もちろんうまくいきませんでした。
人間が着目した成分が総てではなく、バランスを崩した時点で自然の力は失われてしまいます。
成分よりも、植物なら根菜類か葉物か、冬の野菜か夏の野菜か、自分の生活圏にある作物か等を考え、動物性なら人間の姿に遠いか近いかの大枠で考えるほうが間違いがありませんし、食事を楽しむことができます。
病気治しなら状況に合わせて絞っていきますが、健康の維持増進なら、化学的・人工的物質をなるべく避け、季節感ある食材の料理を腹八分目で楽しんで、適度な運動をするだけで充分に事足りると私は感じています。
また、エゴや欲の強い人は、例外なく本人や身近な人が不調を抱えていますので、視野の広い晴々とした心で暮らすことは、とても大切なのだろうと思います。