ステーキこもごも

食品, 食養生

以前のブログで、生命科学振興会理事長の渡邊昌氏が、がんセンター勤務のころステーキを1週間に5日は召し上がり、病を得られたことを書きました。

今回は、相反するお話です。

日本のカンツォーネの第一人者で、留学先のイタリアから日本に初めてカンツォーネを持ち帰り、紹介と普及、アーティストの招聘、後進の育成に、生涯にわたって尽力された故・荒井基裕氏です。

私がお目に掛かったのは、恐らく荒井先生が50代でいらっしゃったと思います。

お昼にステーキを焼いておられ、昼食には毎日ステーキを召し上がるとのことでした。かすかな記憶では、1日に1食だと伺ったような気がします。

私の想像するに、恐らく発声のことを考えての肉食だったのではないかと思います。

肉というのは確かに瞬発力があり、かなり以前に観たテレビで、たぶん五輪真弓さんだったと思いますが、「コンサートの前に肉を食べると、勢いで高音を外してしまうので食べるのをやめた」とおっしゃっていました。

持久力なら和食、特に玄米は基礎体力をつくり、いまにして思うと、基礎体力がシッカリしていれば瞬発力は必要ないかも知れませんし、肉の瞬発力はナトリウムの影響か、とも考えます。

荒井氏は60歳前後で当時の奥様を亡くされ、その1~2年後に再婚されて女の子を授かりました。

晩年のお食事は存じませんが、私がお目に掛かっていた間も、その後、時々インターネットで拝見したときも、氏の体調不良というのは記憶にありません。

いつもパワフルで、人間的な魅力にあふれ、誰にでも真剣に向き合って指導される姿は、多くの人たちに畏敬の念をもって愛されました。

そして、2015年7月に96歳で亡くなられたと知り、死因を調べたら肺炎とのことですので、慢性疾患で床に就いておられた訳ではなさそうです。

以前ご紹介した故・広藤道男博士も、お食事は肉魚にこだわらず普通の日本家庭のメニューだったそうで、病を得ることもなく95歳で大往生されました。

両氏を食養生の観点から考察してみると、共通点は、「少食」であること、使命感を伴う「生きる目的」を明確にもっておられること、ひとつのことを純粋に究める人の常として「無欲」でいらっしゃること、といえます。

最近になって思うのは、「少食」というのは、あらゆる毒素の害から逃れる1つの方法かもしれない、ということです。

病気を食事で治す場合は、重症度に応じてヒトの食性を原点に向かって遡っていく必要がありますが、病気治しでなければ、少食を保つ限り、自由で良いのかも知れません。

また、生き方や心の在り方は健康に大きな影響力をもち、精神が総てを支配すること、そして、何ごともバランスであって「絶対」は無い、ということを改めて感じます。

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