1975年の日本食

生活改善, 病気, 食養生

1975年の日本食は、これまでの食事の中で、体に良い献立だったという報告があります。

貧しい食生活と、豊富過ぎて過食になる生活の、ちょうど境目だったのでしょうか?

2014年9月24日の朝日新聞によると、東北大大学院の都築毅准教授(当時)研究グループの実験で、1960年、1975年、1990年、2005年の各年代の平均的な家庭の献立を、乾燥・粉末にして1週間分マウスに食べさせ続けたといいます。

その結果、75年の食事をしていたマウスは、05年のマウスより寿命が1.2倍長くなったそうです。

05年の献立は、75年に較べて食材は16種類少なく、魚介類は3割減り、肉類は5倍に増えたと解析し、煮る、蒸す、焼くなど多彩だった調理法も半分に減ったと述べています。

都築准教授らは、「75年頃の日本食は内臓に負担が少なく、長寿遺伝子を効果的に働かせる」と説明し、朝日新聞では以下の記事と関連付けています。
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2014年9月のアジアマスターズ陸上選手権(24ヶ国・約2,900人)で日本の90歳の男性が800m・1,500m・5,000mの総てにおいて世界新記録を打ち立てた。80代男子400mリレーでも日本が優勝し、日本は「世界新」「アジア新」と記録を次々と更新した。
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その背景として、「食習慣は40歳頃のものが続く傾向があるとされることから、75年頃に約40歳で、その頃の食事を続けている人たちは2014年現在では80代である」と、都築毅准教授らの研究報告にある和食の良さを挙げています。

私が自然医学に入った1999年には、1975年に約40歳だった方たちは60代で、確かに食事療法による癌の治癒率は高かったかも知れません。

しかし、それ以前に生まれた年代の方ほど治癒率は高いような印象があり、年代が若く、時代が進むにつれて、年々目に見えて治癒率が落ちていったと感じています。

自然医学の森下博士も、「昔は、玄米菜食で面白いくらいに何でも治ったが、いまは、日本人の体質も食材の質も落ちてしまった」とおっしゃっていて、私が自然医学の仕事に関わりのあった足掛け7年の観察の中でも、体質の悪化は急激に進んでいるように感じたものです。

最近よく耳にするのは、都会の若い女性は頭痛もちが多く、日常的に頭痛薬を服用していて「会社の中で、まるでお菓子を交換するかの如く、頭痛薬を交換している」そうです。

体質の悪化(自然治癒力の低下)を考える時、まずは食事内容や食材の質が挙げられますが、自然環境・社会環境の変化による体と心のストレスほか、昔は家庭の躾けの範疇だったものも病名を付けて治療の対象になったり、米国のように合成物や薬剤に対する無抵抗感(危機感の無さ)などがあるように思います。

近年の、過剰傾向にある診断や治療、空気の汚染、心身のストレス、食の乱れなど、自然治癒力を乱す要素は増えるばかりですが、それでも今回のコロナ禍での日本を見ると、欧米に比べるとまだ日本人の体質は良いほうなのだろうと思います。

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