食養生の実際

生活改善, 自然医学, 食養生

食養生とは、日本人の食性に合った食事で体や心の健康を維持することですが、心の在り方や生活のリズムはこれまでに多く述べてきましたので、今回は食事の手法だけを具体的に書いてみたいと思います。

健康であれば病気予防に徹するわけですが、予防食なら全く難しくありません。

食事療法というと心理的に敬遠される方が多いので、健康な方には「日常の食事を『和食にする』だけなら難しくありませんよね」と申し上げています。

日本の食医(食事だけで病気を治す、古い中国で最高位とされた医師)といわれた石塚左玄の食養生は、簡単にいうと以下の条件になります。
1、動物性食品を控え、特に肉食を慎む
2、穀物を主とし、副食には野菜を丸ごと使う
3、精白したものは排除する(一物全体食)

大ざっぱですが上記3つが要件ですので、私たちが慣れ親しんだ和食で、ご飯を玄米にすれば、過食しない限り日常の健康食となります。

具体的なメニュー例としては、「玄米ご飯+味噌汁+昔ながらの梅干し+漬物+魚料理+野菜の煮物+海藻の小鉢」といった感じです。

ただ残念なことに、石塚左玄の時代と違って、現在は食材や調味料、水にも化学物質が含まれ、人工的に遺伝子を操作した食品も流通して、それらの「病気の素」をできるだけ排除しなければ養生になりません。

肉食については、石塚左玄は天武天皇の肉食禁止令と同様、入手しやすい家畜類を否定し、狩などでたまに手に入るものは是としたようです。

それでも、彼の現代語訳の書物を読むと、肉食を厳しく批判し、それこそ知能から性格、体力、体質、性癖、肉がもたらす食の傾向・・・等々、ここまで言うかと思うほどボロクソです。。。

明治時代に福沢諭吉が肉食を広め、当時の聡明な人たちは、歴史ある食文化で培われた日本人の体質を考慮せず外国のものを総て良しとする考えに疑問をもったそうですから、石塚左玄も、現在のような取り返しのつかない事態を想定しての揶揄だったのかも知れません。

石塚左玄の食養生を更に厳格化しているのがマクロビオティックで、いわゆる「ビーガン」といえます。

自然医食(自然医学の食事療法)は出発点が森下博士の実験研究で、マクロビオティックの桜沢如一氏のアドヴァイスも採り入れて確立されましたが、マクロビオティックよりも石塚左玄の基本に近いと感じます。

自然医食は慢性病の治療に実績を残しましたが、私は、健康な方への和食と病気の方への治療食との間に、もうひとつ体質改善の食養生を設けています。

理由は、和食コースは動物性食品(主に魚)を含むため消化器の負担と酸化要因があり、食材や調味料を選んで代謝を乱さない予防食は可能ですが、デトックス(排毒)にはなりません。

かといって、これまで飽食だった方が、たとえ体調不良でも治療食にいきなり移行するのは難しいと思うからです。

どんなに良いものでも、実行できなければ何の役にも立たないわけで、やれそうなことから取り組んでいただくために、健康な人の食養生と病気治しの自然医食の中間に「デトックスコース」を設けています。

その目的と内容については、次回に書いてみたいと思います。

Post a comment