牛乳について 2

生活改善, 食品, 食養生

いまから20年近く前、自然医学のお茶の水クリニックに、重症の静脈瘤の患者さんがいらっしゃいました。

何度も手術を繰り返し、ついに食事療法に来られたのです。その年配の男性は「牛乳がどうしてもやめられない」とのことでした。

森下博士は、「それなら、北海道の『想いやり生乳』を取り寄せて、時々飲んでも良いですよ」とおっしゃいました。

森下博士は患者さんに対し「絶対ダメ」とはおっしゃらない方で、恐らく、患者さんの心理的な問題も考慮されていたと思います。

また、持論でもある『基本の食事でシッカリした体をつくっておけば、多少の逸脱ではビクともしない』として、「好きな牛乳を飲むために、自然医食をきちんとやりなさい」というお気持ちだったかも知れません。

そして、基本の食事が変わると食の好みが変化していくことも、視野に入れておられたのでしょう。

「想いやり生乳」というのは、加熱殺菌をせず、搾りたての生乳を瓶に詰めたものです。

のちに、想いやりファームの長谷川社長にお目に掛かって伺ったのは、「牛たちを自由にさせて自然の牧草を食べさせ、免疫力が落ちるようなストレスを与えなければ菌は増殖しない」のだそうです。

それでも、殺菌が必要ないことを保健所に認めさせるまで、数年間データを提出し続けたとのことでした。

一般に販売されている日本の牛乳は、120℃またはそれ以上の超高温殺菌乳のように加熱処理がなされており、蛋白質の変性、熱に弱いビタミンの破壊、カルシウムの結晶化(晶質化)など、様々な栄養素が壊れています。

しかも、乳牛の飼料用穀物は輸入品がほとんどで、遺伝子組み換え作物はこうした消費者の目に見えないところに使用されています。

さらに、病気予防の抗生物質や、乳量を増加させるためのホルモン剤などの使用で、「安価な牛乳」として消費者に提供されます。

森下博士の永年に亘る長寿国の調査で、「グルジアの長寿者たちは牛乳をそのまま飲まず、何日か瓶の中に入れておいて、乳酸菌が繁殖して酸っぱくなってから飲む」と記しておられます。

これは「マツォーニ」と呼ばれる発酵乳で、日本で売られているヨーグルトとは全く違います。

一般に市販されている牛乳は、何日か瓶の中に入れておくと間違いなく腐敗するでしょうが、「想いやり生乳」は酵素や乳酸菌が生きていて、醗酵(ヨーグルト化)することはあっても腐敗することはないそうです。

これは、温めると腐敗する無精卵と、温めるとヒヨコになる有精卵の違いに似ています。

自然医学では、卵も牛乳も常食することはお勧めしておりませんが、食の楽しみとして口にする場合でも、常に「本物(自然)」であることが私たちの健康を左右するとして重視しています。

※参考文献:正食協会発行「正食」No.482号

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