牛乳について 5

自然医学, 食品, 食養生

ヒトの母乳と牛乳では、成分は全く異なります。

牛乳の脂質は炭素数の少ない低級脂肪酸が多く、人乳では炭素数8以下の低級脂肪酸は殆んどありません(つまり、牛乳の脂肪酸は酢酸寄りの脂肪酸)。

また、脂質を分解したときにできるパルミチンは、牛乳のほうが人乳よりもかなり多く、パルミチンはカルシウムと結合して不溶化するため、カルシウムの吸収を阻害します。

蛋白質は、牛乳のほうが人乳より3倍も多く、全蛋白質のうち牛乳はカゼインが80%以上、人乳では40%以下で、牛乳アレルギーの原因となりやすい「α-カゼイン」は人乳では著しく少ないことが判っています。

そのほか、鉄は人乳のほうが多く、カルシウムとリン(カルシウムに拮抗)の比率は牛乳のほうが高く(カルシウム過剰)なっています。

このように全く異なる両者の組成は、岡山大学・片岡啓氏らの比較生化学的研究によると、動物の乳は種類や近似性よりも、食生活や環境によって影響を受けるといいます。

つまり人乳は、人間社会で生活した結果として組み立てられた成分比率なのでしょう。

森下博士は、母乳とミルク・牛乳について、次のように考察しておられます。
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乳幼児は母乳、なるべく当の母親のものを与え、牛乳や乳製品は極力避けなければならない。牛乳は仔牛を育てるために分泌されたもので、人間向きにはできていない。

まず、体や頭をつくるのに必要な蛋白質の組織が違う。人口栄養で育てていると乳児の尿中に蛋白質が出てくるが、蛋白質の吸収が悪いだけでなく腎臓にも負担を掛けていることが判る。

さらに、母乳と違って自然な形の抗体や殺菌作用をもつ諸物質が含まれていないため、人工栄養児は様々な病気に罹りやすい。

乳幼児に好きなだけ飲ませてみると、必ずミルクでは母乳のときよりたくさんの量を飲む。メーカーがいかに「完全母乳化」をうたっても、子供の生理は正直である。

自分の体に必要な栄養を充分に補給しようとすれば、ミルクに不足している栄養を一定量までもっていくために、必然的にミルクの量は多くなっていしまう、ということらしい。
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ここで問題になるのは、蛋白質過剰になることでしょう。

かつてアメリカの農務省が、「アメリカ型食事指導」というものを出し、米国人の脂質・蛋白質過剰の食事を問題視して、肉類、牛乳・乳製品が過剰だと指摘しています。

アメリカほど健康に関する研究が進んでいない日本では、「なぜ蛋白質が?」と思われるかも知れませんので、次回はその辺りに触れてみたいと思います。

※参考文献:正食協会発行「正食」No.482号、森下敬一著「肉食亡国論」

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