「体力をつかうなら、高カロリー・高蛋白のものを食べるの良い」と思いがちですが、実際は違います。
動物性をカットして、玄米御飯と植物性の副菜を摂るほうが遥かに疲れにくく、持久力も備わります。
ただし、動物性を摂らない場合は、ミネラルバランスの良い天然の塩分を、塩・味噌・醤油でしっかり摂ることが重要になります。
なぜなら、動物性はナトリウムですので、ナトリウム不足を避けるとともに、ミネラルバランスが理想的な天然塩は生命力の源でもあります。
玄米菜食で失敗する人は、殆どが天然の塩分を摂らないことが原因だと森下博士は述べておられます。
今回、私が試して感じたことは、動物性をカットした夕食の場合、つい副菜を食べ過ぎて「腹九分」になったとしても、苦しいのは最初だけで1時間ほどでスッキリした気分に戻ります。
これが、植物性で腹八分にしたあと少し魚を加えると、急に重い満腹感が押し寄せてきて、2時間以上は続きます。肉ならば恐らくもっと続くでしょう。
以前、「動物性を摂ると食の満足感が増す」という文献を目にしたことがありますが、比較してみて「こういうことか・・」と思います。
そして、動物性が多いとガスが溜まりやすく、腹部の膨満感も生じ易いですが、動物性を減らすほどにそれらは無くなります。
これは、以前のブログ「蛋白質について 5」で述べたように、腸内で有害物質を生み出すアミノ酸のなせるわざでもあります。
玄米菜食は、ヒトの食性に合った成分や生命力、および効率の良い植物性蛋白質というだけでなく、このように消化器に負担を掛けないことも「疲れにくい」ことに貢献していると考えられます。
私たちの体は、与えられた状況の中で、生き延びるためのバランスをとるよう時間を掛けて変化していますので、肉食過多の人が急に玄米菜食にすると不調を感じることでしょう。
長期間にわたり飲んでいた薬剤を急にやめるとリバウンドで症状が悪化するように、食事の内容も与えられた状況としては同じです。
癌の末期の方たちは、肉食過多の食事から玄米菜食に直ちに切り替えるわけですが、体質改善反応という辛い反応をいくつも乗り越えます。
しかし、健康に社会生活をしている人は、そうした辛い思いをせず徐々に切り替えていくのが実行しやすく現実的です。
肉食中心の人はまず魚中心に、パン食の人は御飯に、御飯を玄米に替えられたら主菜の魚は1品にして野菜の副菜を増やします。
玄米0.5合はけっこうな量で、舌で粒を感じないくらいまで嚙むと80回以上は嚙んでおり、しっかりお腹に溜まります。
山登りやスポーツで体力をつかうときは玄米の量を増やしますが、日常的に体を鍛えて体力が向上すると、それに伴って玄米を増量したくなります。
戦国武将が1日に1人6合も食べたのは、日常的な肉体の鍛錬で玄米の量が増えていき、ますます体力が向上するというサイクルの結果だろうと思います。