咀嚼について

生活改善, 自然医学, 食養生

玄米菜食で失敗する人は、原因の殆どが天然の塩分を摂らないことによると紹介しましたが、ほかにも、甘いお菓子などを間食していたりする場合もあります。

しかし、ちゃんと玄米菜食をしているのに、胃腸の調子が悪いとか腹痛を起こす、便秘が治らない、という方がいらっしゃいます。

そういう場合は食べ方に問題があって、食事全体の量が多すぎるか、咀嚼が足りないからだと森下博士は述べておられます。

どんなに良い食べ物でも、体が必要としている以上の過食は不調を招きますし、玄米の効果は「よく噛んでこそ」発揮されると思っています。

それなら、酵素玄米や発芽玄米のような柔らかい玄米が良いと思われるかも知れませんが、「咀嚼」という行為そのものに高い治療効果がありますので、高齢で物が噛めない場合を除き、普通の玄米をよく噛んで召し上がることをお勧めしています。

咀嚼は自律神経を整え、良い睡眠を得ることや自然治癒力を高めるのに役立ち、体調を好転させます。

たとえ白米でも、噛むことだけで病気を治した人もいるほどで、咀嚼の重要性を示したアメリカのフレッチャーの話は有名です。

富豪だった彼は贅沢三昧の食生活で、中年に達したころは肥満体となり、頭痛、肩こり、全身倦怠、不眠症、慢性胃腸障害などを訴えるようになりました。

そこで彼は八方手を尽くし、ありとあらゆる療法を試みましたが改善することはなく、絶望の日々を送っていたところ、ある日、田舎の開業医から「食物をよく咀嚼して食べれば、健康になれる」と言われたそうです。

そこで一切の薬物を断ち、パンとジャガイモと肉を一口800回も噛んで、合計30口を1食分としたら、4ヶ月で体重は減り、色々な症状も次々と消えていったといいます。

彼は、この経験から咀嚼法の普及を図り、フレッチャーリズムはアメリカでブームを巻き起こして、ヨーロッパにも波及していきました。

更にフレッチャーは、「よく咀嚼すると、すぐ満腹を覚えるので、食事量は普通の1/3程度で充分となる。また、咀嚼法を続けていると、健康の回復に伴い、肉類は嫌いになって野菜を好むようになる」と、体験的事実として指摘しています。

これについて森下博士は、「我々の体は、真に健康に生きることを望んでおり、よく咀嚼することによって体の自然の呼びかけを聞き取った、確かな本能の英知である」と述べておられます。

※参考文献:森下敬一著「肉食亡国論」

Post a comment